アルコール診療tips

 

アルコール関連での診療におけるtipsです。

 

あまり意識されないかもしれませんが、
少しでも面白みをもたせるための知識として知っておいて下さい。

 

・浸透圧ギャップ
   浸透圧測定値 -( 2Na + BUN/2.8 + 血糖/18 )

 

Na, BUN, ブドウ糖以外の浸透圧活性をもつ物質
が存在すると測定値よりも大きくなります。

 

正常値は-2〜6mOsmol/L程度

 

20mOsm以上で有意とし、アルコール類、アセトンなどが考慮されます。

 

臨床症状と相関したないため、
上昇してなくてもアルコール中毒は否定できません。

 

浸透圧ギャップにアルコール分子量(46)の1/10をかけると、
推定アルコール濃度が分かります。

 

 推定アルコール血中濃度(mg/dL)= 浸透圧ギャップ × 4.6

 

20-150軽症、150-300中等症、300<重症

 

 

 

・酩酊者への点滴について

 

アルコールは主に小腸から肝臓に吸収され、
アセトアルデヒド→水、二酸化炭素に分解されます。

 

分解速度は、0.1g/kg/hであり、
体重1kg当たり0.1gのアルコールを分解するのに約1時間かかる計算です。

 

 ex. 50kgのヒトであれば1時間で5g分解、
    日本酒1合(アルコール20g)だと4時間かかる

 

点滴によって脱水補正はできますが、
アルコール代謝速度は変わりません。

 

しかし、経験的には点滴で覚醒は早くなる印象があります。

 

排泄促進ということではなく、
利尿を促して膀胱刺激する事で覚醒する事が多いです。
膀胱刺激はけっこう侮れません。
時に失禁しても意に介さない人もいます。

 

 

 

・アルコール量による分類

 

大酒家とは、日本酒5合/日を飲むヒトの事。

 

10年大酒家だと、20−30%に肝硬変を発症と言われています。

 

常習飲酒家とは、日本酒3合/日以上飲む人。

 

アルコール依存症とは、
飲酒により社会生活に支障を来している状態であり、
飲酒量は関係ないです。

 

アルコール依存症のスクリーニングとして、
有名な問診があります。

 

スクリーニング問診(CAGE)
C: 飲酒量を減らす(cut down)必要性を感じた事がある
A: 酒の飲み方について、他人から批判されて悩んだ(annoyed)ことがある
G: 酒の飲み方について、罪悪感(guilty)を持った事がある
E: 朝からの飲酒が必要であると感じた事がある(eye opener)

 

*2項目以上陽性で、感度76%, 得意度90%

 

 

 

・アルコール量について

 

一升=1800ml、一合=180mlです。
普段飲まない人は即答できません。
大酒家は3-4日で一升瓶が空になる計算です。

 

ただし、大酒家の言葉は当てにしてはいけません。
「全然飲んでないよ〜♪」と言われてイラつくことがほとんどです。

 

呼気によるアルコールチェッカーがありましたが、
正確性に欠けるため、最近はあまり使用されていません。

 

若いナースの「においます」の感度が高いかもしれないです。

 

*アルコール換算:エタノール約20g当たり
  日本酒1合、ワイン1/4ボトル、酎ハイ1/2合、ビール中瓶1本

 

 

 

・低血糖

 

アルコールを大量摂取する人は低血糖である傾向にあります。
低血糖が起こる理由としては主に2つ。

 

①大量飲酒すると、
エタノール代謝が代謝されたNADHが著増し、
肝臓で糖新生が阻害される。

 

②慢性アルコール中毒では、
食事摂取量が少なく、
グリコーゲン貯蔵が少ない

 

 

 

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