一昔前は、アッペ(虫垂炎)は外科疾患であり、
疑わしければ外れ許容でも手術を行うべき、
と紋切りに言われていました。
今はCTの精度が上がって、
疑わしければ手術という事はほとんどありません。
しかし、最近は虫垂炎の入院を外科に依頼すると、
「内科で保存的(抗生剤治療)にお願いします」
と言われるようになってきました。
外科が抗生剤治療をおしてきた理由として、
最近の有名な論文が関わっていると思われます。
2012年にBMJ誌に掲載された論文ですが、
BMJ.2012;344
腹部CTで単純性虫垂炎が疑われた患者900人を対象に、
一次治療としての抗菌薬治療と
虫垂切除術の治療効果をメタアナリシスで比較した研究です。
要点をまとめると
・手術群に比べて、抗菌薬群で合併症発症リスクは39%低い
・抗菌薬治療群の治療成功率は、63%だった
・治療効果、入院期間、複雑性虫垂炎リスクは両群で有意差はなし
ざっくり言うと、約80%が初期抗菌薬治療に成功し、
その内約80%が一年後まで再発なかったということです。
ただ、単純CTのみで確実に単純性と言い切れる訳ではないですし、
単純性虫垂炎の診断で手術を行うと、
約20%で複雑性であったという報告もあります。
また、2015年にNEJM誌に掲載された総説では、
NEJM, May14,2015
単純性虫垂炎対して、
・抗菌薬治療後に手術となったのは10-37%、中央値4.2-7カ月
・抗菌薬治療後に手術となった患者の13%は虫垂炎でなかった
と記載されています。
抗菌薬治療は有効かもしれませんが、
再発率は4割弱であり、
約半年で手術になる可能性があります。
単純性虫垂炎に対しては、
抗菌薬治療は選択肢として上がりますが、
再発リスクや穿孔して癒着する事を考えると
抗菌薬治療に頼り過ぎず、
すぐに手術に移行できるようにしておくことが大切です。
ですので、やっぱり虫垂炎は外科に入院すべきだと考えます。
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